国の年金を運用するGPIFとは
国民年金や厚生年金は
国の年金制度の1階部分と2階部分といわれています。
GPIFは未来の人たちにお金を運用しているところ
国民年金・厚生年金制度は
日本の運用管理機関としてGPIFというところがすべてをまとめ、運用しています。
GPIFは長い名前で言うと
「年金積立金管理運用独立行政法人」という名前です。
平成18年に設立され厚生労働省から運用の委託を受け、
年金資金の運用を行い、利益が生じたらその資金を国庫に払い、
厚生年金(国民年金も同様)の制度維持に努めています。
2019年12月末で年金資産額は約169兆円もあります。
GPIFには経済、金融の見識が高い人々で構成された「経営委員会」があります。
中長期計画をたてて、運用状況について監視をしています。(2020年4月 現在 委員長を除き8名で構成)
5年ごとに検証する機会がある
GPIFには基本ポートフォリオというものがあります。
預かった保険料を
どのような種類の金融資産で運用していくかという配分のことです。
国内債券 25パーセント
外国債券 25パーセント
国内株式 25パーセント
外国株式 25パーセント(2020年4月より適用)
四半期ごとに結果を報告
・どのような資産配分で運用がされたか
・運用の結果はプラスだったかマイナスだったか
・どのくらいの割合であがったか、下がったか
・どんな背景がありプラスになったか、マイナスになったか
という情報が公開されています。
投資信託など資産形成を自らはじめると、運用報告書を見ることになります。
自分のお金が増減するのでお任せというものではないからです。
GPIFの報告書も定期的に見ていると、「自分で運用をするときの参考になる」とも言われています。
指針となるベンチマークを参考に検討
ポートフォリオ検討のために用いたベンチマークは
以下の4つとなっています。
・国内債券 NOMURA-BPI(ABS除)
・外国債券 FTSE世界債券インデックス(円ベース 日本除)
・国内株式 TOPIX(配当含)
・外国株式 MSCI ACWI(円ベース 日本除 配当含)
高度な運用にも目を向けている
GPIFは日本の人口が高齢社会である状況の中、未来の世代へ年金をつなげられるよう努めています。
そのため、方法の1つとして高度な運用や投資先の考え方(ESG投資など)も進化してきています。
(参考)海外の政府系ファンドについて
参考までに、ここで海外の政府系ファンドに触れておきます。
日本のメディアでは大きな資産をもって投資を行っているところとして
GPIFと同等のように理解されることもあるからです。
海外の政府系ファンドは
特定の目的に対して株式投資などを行い、利益を得てその恩恵で国の富を支える事業です。
運用資産規模順に挙げてみます。
・ノルウェー政府年金基金 (GPFG)<原油・ガス> 9036.9億ドル
・アラブ首長国連邦のUAE(アブダビ投資庁 ADIA)<原油 ガス> 8280億ドル
・中国 投資有限責任公司 (CIC) <貿易黒字> 8137.6億ドル
・クウェート投資庁 (KIA)<原油・ガス> 5920億ドル
・シンガポール政府投資公社 <貿易黒字>3538.8億ドル
・カタール投資庁 (QIA)3350億ドル <原油・ガス>
・中国 国家社会保障基金 (NSSF) (貿易黒字) 2948.5億ドル
・ドバイ 投資公社 (ICD) (原油・ガス) 2008.2億ドル
・サウジアラビア(PIF) (原油・ガス) 1900億ドル
・シンガポール テマセク・ホールディングス (貿易黒字)1797.1億ドル
<>内は運用の原資 2015年から2016年時点のもの ※参考資料 IFSWF「SWFアニュアルレポート2016」
日本のGPIFと違い、
運用方針や運用結果報告など資金の行き先が不透明なもの、ハイリスクな投資先を選択しているようです。
資金規模は大きいものの、投資のもととなる資金も日本とは違います。日本の安定したGPIFとは違いを感じます。