ご相談事例 その1 退職後の不安
Aさん
ご夫婦でご相談に来られました。あと5年で退職を迎える方です。
退職後にも同じ会社で働けるが収入は減る、とのこと。
今のままの生活スタイルで大丈夫なのか不安がありました。
また、年金を受け取る時期は少し遅らせたいと思っています。
年金を受け取るまでの間、
収入は減り、生活費が同じと考えると
自ずと貯金してきたものを使っていくことになります。
どのくらい貯金が減ってしまうのか、
という不安もありました。
お金の収支を見える化 ライフプラン作成で現状の把握
現在持っている資産内容などを確認します。
具体的には以下の内容が挙げられます。
当然最初から考えをまとめて来ていただくものではありません。
お話をしながら思い出していただく、考えていただく、
わからないものは書面になっているものや電子データを準備していただくなどして
徐々に進めていきます。
今後予想される継続的な労働収入
退職後の再雇用先での収入予定は現状よりも減ります。
年金を受け取るようになれば収入と年金額の調整も行われます。
年金額を増やしたい場合は、年齢によってまだ加入できる場合もあります。
現状の制度の場合、働いていれば70歳まで納付が可能です。
退職時や退職後に受け取る収入
退職金は大きな収入のため、退職所得控除という
課税額が優遇される税金の制度があります。
所得税を考えるときに
退職時以降にみる控除としては、退職所得控除と公的年金控除が柱になります。
退職所得控除
退職所得控除は「一時金」で受け取る性質のものになります。
( 収入額-退職所得控除 )×2分の1=退職所得の金額
退職所得控除は
勤続年数20年超と20年以下で異なります。
勤続年数 | 退職所得控除額 |
20年以下 | 40万円×勤続年数 ※下限は80万 |
20年超 | 800万円+70万円×(勤続年数-20年) |
端数に2か月や3か月などがあれば、切り上げになります。
20年2か月ならば21年となります。
退職所得控除額は表で分かるように、かなり大きな控除です。
まだまだ退職まで先が長い方の場合、
退職時の受け取り方で選択することがあると思います。
その際はこの控除を十分活用できるよう取り入れてみましょう。
公的年金等控除
公的年金等控除は名前の通り「国の年金」となる
厚生年金や国民年金から受け取るものに対する控除が主となります。
「等」と記載があるように、
確定拠出年金(DC)の分割で受け取る老齢給付金、確定給付型の年金(DB)も対象です。
参考までに、
財形年金制度の年金は非課税額の範囲であれば受取時も非課税です。
生命保険の受け取り期間が決まっている個人年金を年金形式で受け取る場合は雑所得に、
一括で受け取る場合は一時所得となります。
公的年金等と同様のグループになる雑所得は2020年(令和2年)から改正です。
年齢と、公的年金等の雑所得「以外の」収入額と公的年金等収入額に応じて、雑所得の計算も細かく変わります。
退職後になくなる生活支出
退職をすることで、生活スタイルが変わる方もいらっしゃいます。
・住まいを変える
・通勤手段を変える
・娯楽費を違うことに使う
細かなことですが、生活費に関わるものなので
1日のスケジュールなどを表に書いてみると思い返しやすいと思います。
退職後にはじまる定期的な支出
退職前にはなかった支出が発生する人もいらっしゃいます。
働く時間が短くなった分、趣味を増やす人もいます。
服装をスーツからカジュアルなものにかえる人もいます。
これらは、これからの夢ややりたいことなどを箇条書きであげていくと
出しやすくなるものだと思います。
今後の不安は顕在化しやすくなる リスクの把握
現状のままだけではなく、年齢とともにリスクも幅広く、時に重篤なこともあります。
不安なことを先に考えておくことで、自分だけではなく周りの家族にも不安が残らないような準備をしていきます。
・介護施設の検討
・家の売却
・持ち家の賃貸変更
・家の住み替え
・エンディングノート作成
リスクに応じた具体的な計画と実行支援
どんなことにもメリット・デメリットがあります。
先に紹介したような内容が実現可能なのかどうか
一緒に計画、実行、検証を進めていきます。
・介護施設探しサポート
・資産簿作成サポート
・家の価値調査
・「賃貸、売却、保有」を判断するための家に対する支出シミュレーション作成
まとめ
現状の確認をするためにライフプラン作成から見える化すると
様々な角度から、予測できることがあります。
収入が減ったときの不安は安心に変わることも多いものです。
確認してみましょう。