外部環境の変化に応じた年金とは何か?

八王子でねんきんづくりコンサルティングを行っている
ベターライフスクエアです。

受け取る年金額って変わるんだなあと
気づいている人はいるでしょうか。

年金額だけでなく
年金保険料(国民年金の方)
といった年金にかかわるところはもちろん、
年金を受け取っている間に払うお金も
変わります。

これは介護保険料、健康保険料、後期高齢者医療保険、
そしてこれにかかわる自己負担額も改定があるときに合わせて違ってきています。

 

受け取る年金額について

 

受け取る年金は物価や賃金の変動に応じて
年度ごとに見直しがあります。

マクロ経済スライドという方式です。

 

 

賃金や物価が<ある程度上がっている場合には>
合わせて動きます。

 

賃金や物価の変動がマイナスでいる場合は、
下落分の調整がされた年金額となります。

 

 

賃金や物価の伸びが小さくて
年金額に適用すると今までよりマイナスとなってしまう場合は
調整がされる間、そのままの年金額となります。

 

 

何だか難しいですね・・・。

 

 

 

では実際の数字を挙げて紹介します。

 

 

平成29年度 平成28年度 平成27年度の老齢基礎年金額

 

 

国民年金保険料をずっと払っていた人は
原則65歳から老齢基礎年金を受給できます。

 

 

40年払った場合の年金額は
平成29年度で77万9300円となっています。

 

 

平成28年度は78万100円でした。

 

 

平成27年度は78万100円で同じでした。

 

 

これを決めるのにつかわれる指標が

 

・名目手取り賃金変動率
・物価変動率
・マクロ経済スライドによる「スライド調整率」

です。

 

平成26年度から平成27年度になったときのこの指標は

 

それぞれ

・名目手取り賃金変動率 ̠̠2.3%

・物価変動率      2.7%

・マクロ経済スライドによる「スライド調整率」 マイナス0.9%

 

です。

 

 

 

平成27年度から平成28年度になったときのこの指標は

それぞれ

 

・名目手取り賃金変動率 ̠̠マイナス0.2%

・物価変動率      0.8%

・マクロ経済スライドによる「スライド調整率」 マイナス0.7%

 

です。

 

 

 

平成28年度から平成29年度になったときの指標は

それぞれ

・名目手取り賃金変動率 マイナス1.1%
・物価変動率      マイナス0.1%
・マクロ経済スライドによる「スライド調整率」  マイナス0.5%

です。

 

 

いっぱいあると大変なので

今回は平成29年度のもので紹介します。

 

 

 

名目手取り賃金変動率というのは

平成29年度の数値で紹介すると

前年度(平成28年度)の物価変動率<マイナス0.1>×平成25年度から平成27年度の実質賃金変動率の平均<マイナス0.8%>×平成26年度の可処分所得割合変化率<マイナス0.2%>

できまります。

 

 

つまり、わかりやすく読み替えると

 

前年度(平成28年度)の物価変動率<0.999>×平成25年度から平成27年度の実質賃金変動率の平均<0.992>×平成26年度の可処分所得割合変化率<0.998>

となり、名目手取り賃金変動率<0.989>となります。

 

 

 

年金額としては減ることになります。

 

 

 

 

そして、これにマクロ経済スライドによるスライド調整率が入ります。

 

 

平成25年度から平成27年度の平均となる年金の被保険者の変動率<0.998>×平均余命の伸び<0.997>で、0.995となります。

 

 

 

この計算で、

 

名目賃金変動率が1を下回り
物価変動率が名目賃金変動率を下回った場合に改定

 

となっています。

 

平成29年度は名目賃金変動率が0.989

物価変動率は0.999なので、マクロスライドによる調整がなく

 

 

前年度改定率×今年度改定率

で年金額の改定がされます。

 

 

 

平成28年度の改定率が同じく0.999だったので
今回、平成29年度の改定でさらに0.999を乗することになり

この計算で0.998なので、減ってきたというわけです。

 

 

これでもやっぱり難しいですね・・・。

 

 

 

こういう計算を経て決まる、ということがわかればいいと思います。

 

 

 

老齢基礎年金の改定ルールついては
国民年金法の第27条の2から第27条の5に出ています。