原油価格が下落 どんな影響があるのか
原油価格が下がるといいこともあればよくないこともあります。
日常生活に関連することもあれば世界的に悪影響が生じる場合もあります。
原油産出国として中東と北米だけで産出量の半数以上を誇るわけですが、
今回は2つの地域の石油事業について、原油価格の下落でどのような影響があったのかについて紹介したいと思います。
世界に影響を与える石油会社
石油会社は歴史が長く、かつ世界的な会社ばかりです。
次に紹介する石油輸出国機構のOPECが設立されるまでの間、
セブンシスターズと呼ばれる石油会社がありました。
これらは生産から販売までをすべて一貫して行う世界的な企業です。
アメリカ系
・スタンダードオイルニュージャージー(現在のエクソンモービル)
・アングロペルシャ石油会社(現在のBP)
・スタンダードオイルニューヨーク(現在のエクソンモービル)
・スタンダードオイルカリフォルニア(現在のシェブロン)
・テキサコ(現在のシェブロン)
ヨーロッパ系
・ロイヤルダッチシェル
・ガルフオイル(現在のシェブロンとBP)
現在の新セブンシスターズ
現在では国営企業7社をセブンシスターズと呼ぶようです。
・サウジアラムコ(サウジアラビア)
・ペトロス(マレーシア)
・ペトロブラス(ブラジル)
・ガスプロム(ロシア)
・中国石油天然気集団公司(ペトロチャイナと中国)
・イラン国営石油(イラン)
.・ベネズエラ国営石油(ベネズエラ)
世界中の石油生産を支えるOPEC
冒頭にもご説明したように、世界中の石油を見渡してみると生産国として中東、北米だけで1日の生産量の半分以上を占めています。中東地域の事業形態にはどのようなものがあるのでしょう。
歴史があり影響を与えていたOPEC
OPECは石油産出国としての利益を守るために、複数の国をまとめてできた「石油輸出国機構」です。
1960年に設立し、イラン、イラク、クウェート、アラブ首長国連邦(UAE)、ベネズエラの5カ国でスタートしました。
ナイジェリア、エクアドル、リビア、カタール、ガボン、アルジェリア、アンゴラ、赤道ギニア、2018年にコンゴ共和国が加わり、
現在14カ国が加盟中です。
事務局はウィーンにあります。
OPECは長い歴史の中で、世界のエネルギーの依存先でした。これが石油価格の引き上げを伴い恩恵を受けてきました。
その中には有名なオイルショックもあります。
現在では、OPEC加盟していない石油原産国を合わせ「OPECプラス」と言われるものが出現、世界的な協議を行うこともしばしば見かけるようになりました。
また新しいエネルギーとしてシェールガスも生産され、既存のエネルギーに頼らない方法も増えてきました。
他に埋蔵先との関係、流通ルートの確保、間接的な影響を及ぼす国との対峙など
石油は国際政治の中で利用されることもあり、世界的に影響を及ぼす資源といえます。
金融市場の動きに影響を与える原油価格
投機的な手段としてヘッジファンドがあります。その中に原油の先物取引があります。
原油価格の基軸とされる「WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)現物先物」は1983年からあり、
取引量が豊富で参加者も多く、透明性も高いので
経済指標の1つとしても有名です。
ただし、取引量が豊富で流動性が高いということは
値動きも激しく、本来の需要と供給バランスではかなわないほど値ブレが激しくなります。
原油安から多方面に影響が現れる
原油安ということになると、日常生活には良い傾向だと思います。
先物取引市場では値動きも激しいため大きなリスクとなります。
国の歳入の依存度に合わせ為替の下落をもたらすこともあります。
ロシアでは歳入の中で原油への依存が高かったので、ルーブル安となったことがありました。
原油という高リスク資産から低リスクの資産に大量に資金移動があると、売りに売りがともない原油安になります。
原油関連の企業には、株価の下落要因とされます。
【参考】先物でも一定の規制はある
日本の場合サーキットブレーカーという制度があります。
市場急落によって発動されるもので、取引を停止させることができる制度です。
日本では株式市場だけではなく、先物市場にも導入されています。
ここで紹介しているNYW(ニューヨークマーカンタイル取引所)の
WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物にも一定の規制はあるようです。
まとめ
原油価格の下落があると、影響は多面的に広がっています。もしこのようなニュースが現れた時には、自分の資産に関係するものがあるか想像してみるといいでしょう。